Overconnected 2013 11 3
OVERCONNECTED:
The Promise and Threat of the Internet
by William H. Davidow
書名 つながりすぎた世界
著者 ウィリアム・H・ダビドウ ダイヤモンド社
「つながりすぎた世界」
これを象徴するものは何か。
経済のニュースを見てみると、
よく見かけるのが、こういうニュースです。
「アメリカの株式市場が急落したため、
日本の株式市場も大幅に下落した」
アメリカの株式市場が急落したのは、
悪い経済指標が公表されたからでしょう。
しかし、すぐに連鎖して、
日本の株式市場も下落するのは、気が早すぎると思います。
アメリカ経済が悪化して、日本経済に影響が出るのは、
早くても、数ヵ月後でしょう。
そう言えば、私の記憶が確かならば、
日本経済新聞に、このようなニュースがあったと思います。
リーマン・ショックによって、
世界経済が大きく動揺している時に、
アメリカの中央銀行であるFRB関係者は、
日本の株式市場の動向を、
非常に心配しながら見ていたというニュースがありました。
先進国で最も早く開く市場が、日本の株式市場で、
その株式市場が暴落すると、上海の株式市場も暴落し、
欧州の株式市場も暴落しました。
それを見たアメリカの株式市場も暴落するという「暴落の連鎖」がありました。
こうなると、FRBは、自国の株式市場の動揺を抑えるだけでなく、
先進国で最も早く開く日本の株式市場が開く前に、
何らかの「対策」を発表する必要に迫られました。
このように「つながりすぎた世界」においては、
各国の政策担当者は、難しい対応を迫られることになります。
何か「緩衝材」のようなものが欲しいところですが、
インターネットの発達で、地理的には遠いが、
時間的には、世界は非常に近くなってしまったのです。
つまり、世界は互いに密接してしまったのです。
たとえば、日本から、つまり、このパソコンから、
アメリカのホワイトハウスのホームページを表示させると、
わずか2秒程度で、つながります。
「世界のリスク」というと、「テロ」を連想する人も多いでしょうが、
この「つながりすぎた世界」も、「世界のリスク」と言えるでしょう。
もちろん、宇宙時代になると、「緩衝材」ができるでしょう。
たとえば、木星の衛星に建設した植民地からは、
光の速度でも、時間がかかります。
これが、地球に近い「地球型惑星」となると、
数光年も離れていますので、
「緩衝材」どころが、あまりにも「時差」がありすぎてしまいます。
宇宙時代になれば、「つながりすぎた世界」という悩みも解消されるでしょう。
ただし、今度は、数光年という「時差」に悩むことになります。
もっとも、光の速度を超えるシステムが開発されれば、
宇宙も、「つながりすぎた世界」で悩むことになります。
数光年離れた「地球型惑星」と「われわれの地球」で、
同じ時間に同じようなことで悩みを共有することになるでしょう。
宇宙のトンネル 2010 8 1
宇宙にトンネルがあると言ったら大変なことになるでしょうか。
おそらく、科学者たちは、
「いったい誰が、どのようにして作ったのか」と議論になるでしょう。
しかし、それは、余計な詮索と言えるでしょう。
こう考えてみれば、どうでしょうか。
車で道路を走っていたら、トンネルがあった。
トンネルを通れば、向こう側まで10分で行くことができます。
しかし、このトンネルは、
「いったい誰が、どのようにして作ったのか。
それがわからない限り、トンネルを通ることはできない。
だから、私は、峠道を5時間もかけて向こう側まで行く」という人がいるでしょうか。
たいていの人が、何も考えず、便利にトンネルを使うでしょう。
やがて、人類も、何も考えず、
便利に宇宙のトンネルを使うことになるでしょう。